FERRY's game blog

ドミニオンとか アグリコラとか

第2回東大ドミニオン大会 一回戦サプライによるステロ対決検証の巻

いろいろステロを比べてみよう。の第一弾です。

 

やおやさんの「ゲームやりこみ攻略の八百屋」の「第2回東大ドミニオン大会」という記事(URL:http://dieightether.blog130.fc2.com/blog-entry-161.html)に、大会のサプライが載っています。一回戦のサプライがステロスキーなFERRYには垂涎モノでしたので、ほぼドミで遊ぶときなどに、よくサプライを拝借していたのですが、ジェロニモ様を使って、どの作戦が強いのか、検証してみました。

<検証サプライ>

 礼拝堂 中庭 願いの井戸 宰相 坑道

 鍛冶屋 よろずや 再建 研究所 大使館

<検証作戦>

 A)中庭ステロ

 B)宰相ステロ

 C)鍛冶屋ステロ

 D)よろずやステロ

 E)礼拝堂-研究所

 F)大使館ステロ

 G)大使館-坑道

 H)井戸ー再建からの井戸ステロ(屋敷を井戸に再建して金金銀で属州購入)

FERRYの場合、好みもあって、よろずやステロか中庭ステロにいきたくなります。大使館も強いのですが、初手4-3の銀-銀スタートから狙うには二周目4金、4金のケースがあるので、ちょっと二の足を踏む感じです。初手5-2なら大使館ですかね。

<検証方法>

属州場、屋敷場、4人戦、初手ランダム、番手ランダム、1万回のシミュレートによる結果です。10万回だと一回のシミュレーションに1分くらいかかるので、時間の短縮のために1/10の試行回数としています。

上記の8作戦を総当りで70戦(=8C4)回しています。スチャダラパーの”ひまの過ごし方”が聞こえてきそうなボリュームです。集計の都合上、番手固定にはしていません。また、2人が同じ作戦を取る場合も考慮していません。これらを全て集計しようとすると、1万回のシミュレーションを数万回まわす破目になるので、専用のプログラムを組まないと駄目ですね。

最初は、最強ステロ戦術はどれだ?的な記事を書こうと思ったのですが、残念ながら暗黒時代とギルドのシミュレーションができないので、ちょっとアプローチを変えています。

<検証結果>

各作戦は、各々35通りの組み合わせの対戦相手と戦っていることになります。引分の割合は、組み合わせによってそれぞれなのですが、ばっさりと切り捨てています。各作戦ごとの平均勝率、標準偏差、最大勝率、最小勝率、中心値は以下の通りです。

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た、大使館-坑道強えぇ~~。け、研究所-礼拝堂弱えぇ~~。

まずは、いろんなところに書かれている”鍛冶屋ステロ>礼拝堂圧縮”について、まぁ、そういう結果がでるのだろうと思っていましたが、研究所-礼拝堂がこんなに弱いとは思いませんでした。ここに挙げた8つの作戦の中で最低勝率。宰相ステロより弱いのです。設定がおかしいのかと思い、何回か購入アルゴリズムを見直してみたのですが弱いままでした。ログを見てみると、やはり屋敷を廃棄している分の勝利点差で負けていたり、勝利点を買い始めてからの失速が激しかったりするようです。まわりの速度が遅くて、デッキを成長させてから勝利点を買い始めれば、十二分に強いはずなのですが、属州場でステロの強い場では、礼拝堂は罠と言って差し支えなさそうです。井戸-再建が健闘していることから、単に破棄してしまう効果と、屋敷を井戸や銀貨に再建できる効果の差が出ているように思います。ちなみに、再建からの研究所は非常に弱く、再建-中庭は再建-井戸より強かったものの、鍛冶屋ステロより少し弱い勝率でした。

大使館-坑道は、他を寄せ付けない強さでしたが、坑道を入れない単純な大使館ステロだと、中庭ステロより劣っている。というあたりが面白い結果です。

鍛冶屋ステロとよろずやステロは同程度の平均勝率でしたが、よろずやステロの方が標準偏差が大きく、相手の作戦によって勝率の変動が激しい結果となりました。インタラクションがあるのは大使館購入時の銀貨獲得だけですので、鍛冶屋ステロとよろずやステロの勝率の標準偏差の差は、他の要因によって左右されていることになります。

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この問いに対しては、おそらく上記のグラフが答えになります。横軸が平均終了ターン数、縦軸が勝率を表しています。よろずやと鍛冶屋では平均ターン数に対する勝率の傾きが異なっており、終了が13Tより早いようなケースでは鍛冶屋ステロ有利、終了が14Tを超えるような遅いケースではよろずや有利とはっきりとわかれます。

これは、屋敷を廃棄しつつ、銀貨を補えるよろずやステロが、勝利点が入り始めてからの継戦能力が高いことを示し、逆に、鍛冶屋ステロは勝利点が入り始めてからの失速が相対的に大きいことを示します。

また、シミュレーションとは別に、一人回しで遊ぶときは、再建ー井戸が一番楽しかったことを記しておきます。

 

<まとめ>

平均勝率の高い順に以下の結果となりました。

 大使館坑道(42.92%) > 中庭(32.80%)

  > 大使館(27.51%) > よろずや(21.73%)

   > 鍛冶屋(21.39%) > 再建井戸(14.81%)

    > 宰相(10.37%) > 礼拝堂研究所(7.99%)

 大使館坑道を除くと、中庭ステロの強さが光ります。平均勝率に対する標準偏差の割合も小さく、安定したステロ戦術であると言えます。また、別の機会に船着場ステロや議事堂ステロなどとの比較も行いたいと思います。

一方、礼拝堂で強圧縮をかけるやり方では、”逃げ”のステロを捕まえるのが難しいので、礼拝堂の代わりに軽圧縮系キャントリップ(屑屋や改良や弟子)などで、後半の爆発力を底上げしてやるのがよいかもしれません。このあたりも、二種類のカードのシナジーの検証を進めていきたいところです。

 

 

以下の表は、全シミュレーション結果です。念のためにあげておきます。

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<さらに、、、>

一見平等に見える、初手ランダムでのシミュレーションですが、初手5-2で鍛冶屋ステロを選ぶ人がほとんどいないように、また、初手4-3で礼拝堂研究所を選ぶ人がほとんどいないように、本来の作戦選択ロジックからはずれてしまっている部分があります。そこで、礼拝堂研究所、大使館ステロ、大使館坑道は初手5-2固定、その他は初手4-3固定で比較したのが以下の表です。大使館ステロや大使館坑道は、初手4-3からでも狙っていく可能性があるでしょうから、そこはわければよかったのですが未対応。

大使館坑道の強さは変わらず、大使館が早く入る分、大使館ステロと中庭ステロの勝率は同程度になっています。また、全体として展開が速くなるため、鍛冶屋ステロとよろずやステロでは、鍛冶屋ステロ優勢という結果になりました。

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※データ検証には「Geronimoo's Dominion Simulator」(URL:http://dominionsimulator.wordpress.com/)を使っています。ツールの開発者の方々に感謝いたします。