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FERRY's game blog

ドミニオンとか アグリコラとか

庭園戦略の最適化に見るドミニオン戦略思考の奥深さ~1:庭園カットと工房⇔木こりの格差~

そして、素晴らしき庭園のジレンマですよ。の巻。やっぱ、ドナルドさん、天才かも。

 

ドミニオンではいろんな駆け引きが楽しめます。庭園戦略は庭園が軸になるのと、お金プレイ(Big Money)ではないので、日本でも”ステロ”とは呼ばれませんが、今回いろいろ回してみて、”ああ、庭園って、ステロと同じ要領で戦略解析できるやん”ってことがわかったので、お付き合いくださいませ。

 

庭園戦略で重要なのは、安定して庭園を獲得できるアクションカードと、デッキ枚数を増やすために1ターン2枚以上のカードを購入/獲得できるアクションカードです。暗黒時代に入っている物置や物乞いや従者、ギルドに入っている名品などは、ジェロニモ様の仕様上、シミュレートできないのですが、ここでは、木こり、工房、泥棒(以上基本セット)、男爵、鉄工所(以上陰謀セット)、役人(基本)+倉庫(海辺)などについて調べています。馬商人(収穫祭)も良いと思いますが、男爵同様、”カード自身が4コスト”ということと、”4金確定というわけではない”という部分で、少し評価が下がります。一方、これらのカードは、手札によっては5金が出せる点が魅力で、公領公爵や他の戦略への移行が容易です。特に馬商人は、アタックに対してリアクションを取ることができるので、対戦相手の戦略との相性如何では、評価が上がると思います。

 

さて、庭園戦略について興味を持ったのは、

  1. 庭園に行くのが、1人か、2人か、3人か、4人かで大きく変わるゲーム展開
  2. 属州側は庭園をカットするべきか

なのですが、1)に関しては、ドミニオンマニアックスや、各ブログ等でも書かれているので、属州側のノルマの変化や、属州切れと三山切れのどちらでゲームエンドを迎えるか?といった話はここでは割愛します。2)については、議論の余地はありますが、属州側が通常公領を買いにいくタイミングで庭園が余っていれば庭園を買う。として、検証を進めています。

ジェロニモ様のアルゴリズム作成においては、

  • 属州側が庭園をカットしにいく変更
  • 庭園側が三山切れを加速させるために必要な変更
  • 庭園+泥棒に対して、属州側が可能な限り属州を買うアルゴリズムへの変更

などを行っています。

シミュレートは、属州場、屋敷場、4人戦、初手ランダム、番手ランダム、1万回のシミュレートによる結果です。今回も比較対象が多かったので、10万回ではなく1万回での検証です。以下、各論に入ります。

 

<属州側は属州枯らすために極力属州だけを買ったほうが良いのか?>

まず最初は、属州側は早く属州を枯らすために、公領を入れてデッキを腐らせるより、属州のみを買い集めたほうがよいのか?ですが、以下の通り公領や屋敷も一緒に買っていったほうが良い結果となりました。これは、属州側が1人でも、3人でも同様で、例え三山切れを加速させることになったとしても、公領一枚分の3勝利点が非常に重要な意味を持っている。ということだと思います。

それにしても、庭園木こりと庭園工房の勝率の差は大きく、手札にくれば確実に庭園を獲得できて、お金でもう1枚なにかを購入できる。という工房の効果は絶大です。庭園戦略にかぎらず、コンボパーツ集めにも威力を発揮する工房を上手く使いこなすことは、ドミニオンの上達に必要なことだと言えるでしょう。

  • 属州鍛冶屋/属州鍛冶屋/庭園木こり4/庭園工房4/引分 = 16.41/ 16.08/  4.91/ 47.87/ 12.43% (18.4T) 三山 56%
  • 標準鍛冶屋/属州鍛冶屋/庭園木こり4/庭園工房4/引分 = 48.69/ 11.33/  1.88/ 32.22/  4.54% (18.8T) 三山 62%
  • 標準鍛冶屋/標準鍛冶屋/庭園木こり4/庭園工房4/引分 = 33.59/ 33.69/  1.32/ 25.53/  4.63% (18.8T) 三山 69%

※ここで、標準鍛冶屋とは、標準の鍛冶屋ステロ購入アルゴリズム。属州鍛冶屋とは、公領も屋敷も買わずに勝利点は属州だけを買うアルゴリズム。庭園木こり4とは、木こりを4枚獲得してから庭園を買い始めるアルゴリズム。庭園工房4とは、同様に工房を4枚獲得してから庭園を買い始めるアルゴリズムです。

 

<庭園はカットすべきか?どのくらいカットすべきか?>

特殊勝利点に限りませんが、ドミニオンには集められると強力な威力を発揮する戦術が多くあります。公領公爵、寵臣、錬金術師、etc。庭園も同じく、デッキ枚数が40枚を超えると公領よりも高い点数になるので、属州側としては、独占されるよりは何枚かカットするべきと思えます。

上にも書きましたが、通常の鍛冶屋ステロの購入アルゴリズムで、公領を買うタイミングで庭園が残っていれば庭園を買うアルゴリズムを”庭園鍛冶屋”として比較を行いました。

  • 庭園鍛冶屋/庭園鍛冶屋/庭園鍛冶屋/庭園工房4/引分 = 24.13/ 24.71/ 24.26/ 19.68/  3.54% (17.0T)
  • 標準鍛冶屋/庭園鍛冶屋/庭園鍛冶屋/庭園工房4/引分 = 26.94/ 20.66/ 20.42/ 24.75/  3.55% (17.2T)
  • 標準鍛冶屋/標準鍛冶屋/庭園鍛冶屋/庭園工房4/引分 = 21.54/ 21.89/ 14.53/ 34.75/  3.71% (17.5T)
  • 標準鍛冶屋/標準鍛冶屋/標準鍛冶屋/庭園工房4/引分 = 14.34/ 14.37/ 14.34/ 50.58/  3.05% (17.9T)

結果は、なんという素晴らしいバランスのジレンマ!鍛冶屋ステロ側が誰もカットに行かないと、庭園側は50%を超える勝率で非常に有利となります。一方、全員が庭園をカットしにいくと、庭園側の勝率は20%弱にまで落ち、鍛冶屋ステロ側の誰かが勝つ確率が高くなります。

そこで、鍛冶屋ステロ側の1人が庭園カットをやめて公領を優先して買うと一番勝率が高くなり、かつ、まじめに庭園カットしている他の鍛冶屋ステロ勢に対して6%前後有利になります。さらに、もう1人”庭園カットやってらんねーよ”と、公領優先に走ると、庭園側の勝率が35%と最も有利になります。

うーん、素晴らしい。ブンダバール。まさに”庭園のジレンマ”です。まぁ、悩むほうは鍛冶屋ステロ側なのですが、「勝つためには庭園カットしなければならない」→「自分の勝率を高めようと思うと庭園カットしないほうがいい」→「2人以上同じように考えたら勝てない」→「振り出しに戻る」です。

 

 

※データ検証には「Geronimoo's Dominion Simulator」(URL:http://dominionsimulator.wordpress.com/)を使っています。

ツールの開発者の方々に感謝いたします。