FERRY's game blog

ドミニオンとか アグリコラとか

中庭は~ ただの2ドローのカードやないんやで~♪

大っきいのんが大庭なら、小っさいのんは子庭やで~♪ と、元ネタを知っている人は50歳以上だと思われるネタが先行き不安感を煽らずにはいられないFERRY's Game Blogですが、皆様いかがお過ごしでしょうか? 続きは「嘆きのボイン」で検索っ!

 

最近月一更新と化してしまっている間に、巷では、2014年ドミニオン日本選手権開催の告知がホビージャパンさんからありました。その直後から、FERRYのツイッターのTLで観測できる範囲においてすら、「合宿!」「特訓!」「無限!」等、物騒な言葉が飛び交っております。こわや、こわや。

そうです、もう大会までは二カ月ちょっと。寸暇を惜しんで、ドミニオンおやりなさいよって話なのですが、大会のレギュレーションが発表になっていないので、もう一つエンジンのかかっていないFERRYでありました。

ともあれ、ドミニオン日本選手権開催を英断いただいたホビージャパンさんには感謝感謝です。年明けに2013年のホビージャパンさん取扱いゲームのランキングが発表されてましたが、発売から5年以上経つタイトルが、未だに上位の売り上げを叩きだしているドミニオンすげーって思います。

 

 

さて、今回は中庭ステロに迫ってみたいと思います。数あるステロ系のカードの中では、2コストの安さも相まって、抜群の安定感が感じられる中庭ですが、初期の強ステロカードということで、鍛冶屋、中庭、仮面舞踏会の御三家については、いろんな記事が書かれています。「中庭 銀 ドミニオン」でググった中庭についての記事の中でも、特に緻密な考察をしておられるnk377さんの記事を以下にあげてみます。

  nk377さん ~nk377の日記~

   中庭ステロイド(その1)

   中庭ステロイド(その2) というより、仮面ステロイドについての考察

   中庭ステロイド(その3)

   中庭、仮面ステロの初手について

3~4Tの金貨獲得確率など、知ってると知らないとでは、大きくプレイングに差がでそうな内容です。ここまで差があると、中庭銀一択のようにも思いますが、大会など中庭の底沈みが洒落にならないような状態で、平均勝率ではなく、その一戦の勝利を追及する場合に、やはり中庭中庭という選択肢はアリなんだと思います。

※初期の強ステロカードで、議事堂に関する記事をあまり読んだことありません。強さが明白すぎるからなのかもしれませんね。相手に1ドロー与えるデメリットの数値化など、テーマとしては面白い気がするのですが、、、。大使館の銀貨を与えるデメリット等と合わせて、いつか記事をかいてみたいと思います。

 

 

と、前置きは長かったですが、では、実際に中庭銀と中庭中庭では、属州獲得速度にどのくらいの差があるのか検証してみましょう。属州場、屋敷場、初手ランダム、一万回のシミュレーションの属州4枚の速度検証結果です。

中庭銀は、3~4Tで5金以下が出たら中庭をもう一枚追加。中庭中庭は5金以下は銀貨を買います。また、金貨がデッキに一枚入った後は、8金出れば属州を買い始めます。

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まずは、中庭銀のケースですが、平均値=13.9T、中心値=14T、最大値=19T、最速値=10T、3σ=4.5となりました。参考までに、初手4-3限定の鍛冶屋1枚の鍛冶屋ステロが平均値=14.7T、中心値=15T、最大値=22T、最速値=9T、3σ=5.1です。 度数分布の比較を以下に示します。

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平均速度的には約1T速いだけですが、13Tまでに属州4枚の可能性が41.6%あるので、2~3回に1回は13Tより速い速度がでることになります。鍛冶屋ステロでは約5回に1回だったので、体感的には「鍛冶屋ステロよりかなり速いなー」という感じでしょうか。

また、3T、4Tの引きでどのように属州4枚平均獲得速度が変わるかについても、鍛冶屋ステロの時と同じように確認しました。

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これを見ると、中庭が底沈みするか否かに関わらず、3T、4Tで金貨を買えるか否かが速度を決めるファクターであることがわかります。特筆すべきはバラツキの小ささで、ベストケースとワーストケース間の平均速度の差は1.49Tと、鍛冶屋ステロ記事の中で参照した3.15Tよりも圧倒的にバラツキが小さいことがわかります。劣っているのは、最速ターン数が9→10Tになることくらいでしょうか。

一方で、二人戦の時の安全圏、属州5枚獲得の速度については、平均値=16.3T、中心値=16T、最大値=30T超、最速値=12T、3σ=5.9と、こちらも鍛冶屋1枚のステロの平均値=17.6Tよりも約1ターン速い結果となっています。

 

 

次に、中庭中庭のケースですが、平均値=14.1T、中心値=14T、最大値=20T、最速値=10T、3σ=4.5となりました。中庭銀のケースと比べると、数値的にはバラツキもほぼ変わらないので、平均速度の0.2T差をどう見るか?ということになります。

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結局、3~4Tを通じて、中庭を打てないケースを避けようとする場合、中庭銀の中庭底沈み率16.7%/中庭中庭の二枚底沈み率0.8%の間にある16%程度の差と3~4Tの金貨獲得率と、平均速度0.2Tの差を天秤にかけた上で、判断することになるかと思います。

 中庭銀と中庭中庭の属州4枚獲得速度の比較は以下の通りです。

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また、念の為、属州3枚、4枚、5枚獲得の平均速度を比べてみましたが、全体にわたって、0.2Tの差があるようです。

中庭銀  3枚:11.9T、4枚:14.1T、5枚:16.5T

中庭中庭 3枚:11.7T、4枚:13.9T、5枚:16.3T

 

 

ところで、nk377さんの記事の中に、「3~4Tの金貨獲得確率は、中庭中庭よりも銀貨銀貨の方が高い。」という旨の一節がありました。ということは、銀銀で入って、3T以降6金出れば金貨、5金以下なら中庭を2枚まで買う。という戦術も成り立つはずです。最大のメリットは「中庭ステロやりませんよ~ 5金カード狙いに行きますよ~」という偽装ができることでしょうか。そんな偽装をして嬉しいのかどうかは、一旦おいておいて、速度検証の結果をみてみます。

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こちらは、平均値=14.2T、中心値=14T、最大値=20T、最速値=10T、3σ=4.5と、実はほとんど中庭中庭と変わりません。銀銀の方が金貨を獲得できる確率が高い分、中庭を打つタイミングが5T以降にずれ込むのを相殺しているようです。これくらいの差であれば、5金帯を狙って、4金4金しか出なかった時の保険になりそうです。ただし、3T目の4金の段階で、中庭を買う腹はくくらなければなりませんが、、、。

 

 

普通の検証はここまでなのですが、おまけにに銀中庭で入って、3T以降6金が出なければ中庭を3枚まで入れるアルゴリズムの結果を紹介しておきます。普通なら、そんなことはしません。金量でないのは目に見えてますし、中庭を打った後、手札に中庭が二枚あって、次のターンに戻しきれないケースもでてくるので、とんでもない悪手のように思えたのですが、結果は平均値=14.2T、中心値=14T、最大値=21T、最速値=10T、3σ=4.5と想定外に良い結果でした。

中庭は8枚掘り進んで、1枚戻す効果なので、デッキが19枚(=7+7+5)を超えると中庭で掘り進めないカードが出てきます。中庭3枚体制は、毎回中庭で中庭を戻して意味無いように思えますが、毎ターン中庭以外に2ドローできる可能性を高めているとも言えます。途中負けていて、2金しかでないターンができてしまった時に、3枚目の中庭を買うのはアリかもしれません。

実際に「2金の時に3枚目の中庭を買う」シミュレーションを回してみると、平均値=13.9T、中心値=14T、最大値=19T、最速値=10T、3σ=4.5と、3枚目の中庭を差さないケースと、ほとんど変わりませんでした。ちなみに3枚目の中庭を差すケースは10000回の試行の内、約2割(19.71%)ありました。最大値が20→19Tに短縮しているので、引きの悪いケースを改善する効果はありそうです。

 

 

最後に、ここまでの速度検証の度数分布の結果を1枚のグラフにまとめます。

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ちょっとごちゃごちゃしてますね。Case4とCase5の線はほとんど重なっています。あわせて、中庭を1枚しか差さないケースも参考に載せています。中庭は2枚以上差してこそ、カードの効果の旨味を活かせるカードだと思いますが、2枚差しに比べて、属州獲得速度は1T遅れる程度のようです。ちなみに、鍛冶屋1枚ステロとの比較は以下の通り。

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多少、鍛冶屋の方が速いですが、まぁ、ほとんど変わりませんね。うーん、中庭なんで2金なんでしょ?

 

ということで、ステロでまわす限りは、中庭は鍛冶屋の上位互換ということが言えると思います。また、3~4Tに金貨を獲得できるかどうかが速度を左右するので、自分なら中庭が底沈みするリスクを差し引いても、ほとんどの場面で中庭-銀でのスタートを選択するでしょう。

余談ですが、引き切りコンボと組み合わせる時は、ドロー枚数の多い鍛冶屋の方が使いやすい訳ですが、中庭を使う場合は、デッキトップを参照する効果のカードと組み合わせるなど、中庭の特性を活かしていきたいですね。

あと、鍛冶屋ステロで二枚目に鍛冶屋でなく中庭を差すケースや、執事-銀の後、中庭を差すケースなど、ステロに一味足す感じのプレイングなんかも研究の余地有かなと思います。

 

ではでは、今回はこの辺で。次回は、多少メタな、ドロー枚数とコストの関係を考えていきたいと思います。